今 日 は 夏 休 み !


 いいよなあ、南のお腹って。
 なんてゆーか、割れ具合がすんごい俺の理想。俺だってそれなりに筋肉はあるけど、もうちょっと厚みが欲しいんだよなあ……。
「なんだよ」
 南君はようやく俺の熱視線に気づいてくれた模様。おそすぎるよね、まったく。
「ん?なんでもないよ」
 ああ残念。俺がもたもたしている間に南はもう制服に着替えてしまった。
「はやく着替えろよ、千石」
 そうか、俺が着替えてこの部屋を出ないと南は帰れないんだっけ。部長は大変だなあ。部員だけじゃなくて部室の管理までしなきゃなんないのか。青学は副部長がその仕事を担っているというのに……って、うちに副部長いなかったっけ。やば、誰だっけ。
 南はこの部室にある唯一の空調機である扇風機の風が一番当たる場所に座ってる。あ、くそ、一番良い場所に!因みにロッカー前は全く風がこないのである。つまり暑い。埃っぽさと蒸し暑さと男の汗臭さとで、独特の何かがここにある。
「おまたせー」
 南は軽く頷いて扇風機のスイッチを切った。
 風はゆるくなって、なくなって。
 鞄を持ってドアに手をかけた南に待ったをかけた。



「南、今何分?」
 あ、G-SHOCK!そういや入学祝いに買ってもらったんだっけ。いつか、そう聞いたような気がする。
「いまは……十八分かな」
「あーバス行ったとこじゃん。キヨ、ショックー」
「次は三十六分か……日曜だしな……」
 暑いなーと思ったら扇風機回ってないじゃん!
 埃っぽい部室にいるのも気が向かなかったし、日陰の全くないバス停で立っているのも真っ平だったから、部室のドアの前に座っていることにした。暑い。でも、たまに吹く風は気持ち良い。



「南ー」
「ん?」
「暑いよー」
「俺も暑いってーの」
「プール行きたいよ。ね、今度行こうよ!」
「みんなで?」
「ううん、二人で。プールデート」
「男二人で?」
「何ゆってんだよ。プールなんて女の子と行ったって、水着姿にドキドキしたりビキニに妄想したりするだけじゃん!それよか男二人で行って腹割り合って本音トークとかをするのがいいんだよ!」
「そういうもんか?」
「そーゆーもん!あ、南スクール水着だろ?」
「お前は?」
「俺はバカンス用のトランクス型さっ!南は、絶対ビキニ、ビキニがいい!」
「は?」
「いつ行くー?あ、もう三十分じゃん。そろそろ行こうかー」
 パンパンと、お尻についた砂をはらって立ち上がった。



「蟹座の君と射手座は今月の二十三日がラッキーデイだから、二十三日で決まりッ」
「クラブはどうするんだよ」
「一日くらい休んじゃっても大丈夫だよ」



 にぃと笑った俺に返してくれたその苦笑いは、イエスの返事だよね!
 さあ、デートには何を持っていこうか。
 大きなビニールバックと水着とバスタオルとゴーグルと、それからでっかい浮き輪と。俺達に全く似合わない農家の人みたいな麦わら帽子も良いかもね!短パンはいてTシャツ着て、ビーチサンダルで。小道具のサングラスだって忘れちゃいけない。あひるさんはお風呂用だけどとりあえず持っていく。きっと南が止めてくれる。
 安っぽい味のするチューペット食べて、フランクフルトを食べて。コインロッカーの百円はきっと返ってこないんだ。



 ふふ、と声に出して笑ってしまったのに対して君は、気持ち悪いなぁだって!愛がないなぁ。
 でも君のことが大好きだなぁ。




 ええと、ぶっ壊れてます。(あ、接頭語!……じゃなくて)ええと、キヨが。
 あまりの暑さに思考回路がおかしくなった千石さんって感じだと、言われました。おかしくなっていたのは千石じゃなくてきっと私……。
 一人称がキヨって言うのは、電柱人さんからパクりました。ていうか、清純自ら勝手に己のことを「キヨ」って言ってたよ!
 ええと、初っぱなからいきなり筋肉について語ってますが、理由は分かってます。non-no見てたんですよ。書く直前に。じゃあ、non-noの広告部に集英社のナツイチの広告があって、玉木宏が水着姿でお腹見せてたんだよ!(てか、タッキーのボディの方がいいと思う)
 ええ、ほんと、それだけ。(プールに行きたかったのは私)
 玉木宏……私今年の6月まで彼の存在を知りませんでした。
 そうそう、最後に文字色について。
 はじめは、ゴールデンオレンジにしてたんだけど、シンデレラに変更。だって、意味が可愛い!「ハッピー・輝かしい・浮き浮きとした」だって!ま、夏だし、千石だし、って。(笑)


2004/09/14...MIKO