「うわあ、もうほんと、忍足先輩のこと好きですっ!結婚してください!」
 また、こいつは……。しょうもないことばっかり言って。



 カワイイあの子



 ザシュと、砂の大きな音がした。
 誰がこけたのかと、音のしたほうを見る。

「鳳やん……」



 水まきしていた手をとめる。
 ホースから出る水が、ダバダバと足元に落ちる。
 水溜りができる。
 水がはねる。
 あ、アウト。
 靴がぬれて、靴下がぬれて、しばらくしたら多分乾くのはわかっているけど、ちょっとだけ面倒だった。
 声かけて、名前も知らない後輩に蛇口を止めてもらう。

(正直、こういうのが嫌やねんけど)

 人を見下すのも、人に命令するのも、人を思いのままに動かせることは嫌いじゃない。
 それでも、やっぱり、オズの魔法使いに出てくるブリキのきこりのように心が欲しいと思ってしまう。



「鳳ー。バンソウコウはったるわー」

 驚いた顔をしてる様子が面白い。
 そんなに珍しいかとむっとしたフリを心の中でしている自分に笑いがこみ上げてくる。



(あーとりあえず、靴下替えとこ)

 確か部室にくるぶしを置いていたはず。
 シューズの換えは、さすがにない。(でも跡部と樺地のは確かあった)



 鳳は、血が出たらしい右ひじをちらちら見ながらこちらへ走ってきた。

 無駄に整理されすぎた部室で、救急箱を探し出した。
 整頓ができてないあたりが、うちの部らしいと思う。

「ほら、うで出してみ」

 マキロンを見ただけで痛そうな顔をしてるのが面白い。
 マキロンなんかせーへんのに。

 水で洗ったあとの、ほんの少し生々しい傷跡。
 バンソウコウをはったらほっとした顔をした。
 ベチッと叩いてやったら、痛そうな顔をした。
 思わず笑ったら、鳳は困った顔をした。

「ありがとうございました。すみません。迷惑かけて……」
「いいって。実はちょっとサボりたかってん」

 とりあえず、気分転換はできた。
 さあ、練習か。



「ん?どしたん?」
「いえ……」
 鳳の視線が気になって。
 なんか、したっけ?

「忍足先輩、すごいですね!怪我の手当てまでできるんですね!」
「いや、バンソウコウはっただけやん」
「いえ、すごいです!」



 しきりに何度も頷いて。



「うわあ、もうほんと、忍足先輩のこと好きですっ!結婚してください!」
 また、こいつは……。しょうもないことばっかり言って。



 とまあ、冒頭に戻るわけである。



「自分、クリスチャンなんやろ?そら、あかんやろう」
「いえ、俺はこう見えても仏教徒なんで大丈夫です。仏陀はキリストと違ってそんなケチくさい事は言ってませんから!」
「ああ、そうかー」
 鳳は、ええやつやけど、真っ直ぐすぎてたまに横道を真っ直ぐ突き進もうとするのがたまに傷だ……と思う。
 こいつ、凄いと思ったやつ全員に結婚申し込んでんかな?女やったら、変に誤解……されへんか。本気じゃないことはミエミエやもんな。どういうつもりで言ってるんか知らんけど。

「ええ!」
 鳳は続ける。
「ああ、四苦を仏陀は説いたけれども、どうしてこの中に恋はないのでしょう、神様……!アーメン!」

 アホや。絶対アホやこいつ。
 宍戸も鬱陶しくないんかな、毎日一緒におるけど。

(あー……でも岳人も似たようなもんか。アホやもんな) 

「――――恋わずらいって言うから、病でいいんとちゃうのん」

 きっと、こういうアホな所がほっとかれへんねやろうな、宍戸は。(おせっかいやしな)

「なるほど!さすがです、忍足先輩!やっぱり俺と……」



 さてそろそろコートに戻らな、監督くるかな?




 友人、結城君へのプレゼントの品です。
 以下、彼女に送ったメッセージ(?)です。

 ↓ ↓ ↓

 相互リンクありがとう!
 お友達記念(?)の鳳忍です。がんばったわよ?(笑)
 なんかもう、これはCPなのかどうかも定かではなくなってきましたが、とりあえず、こんな感じになりました。
 うううううう、このCP書くの初めてーなんですけど、こんなもんでよろしかったでしょうか?(駄目だといわれてもどうしようもありませんが)
 遅くなりましたが、ええと、よろしければ、もらってやってください。
 私のん、正直、読んでもらえばわかる話だけど、甘いとはかけ離れたところにいます。
 じゃねーん☆
 MIKOでちた♪



 ちなみに「四苦」とは「生・老・病・死」です。
 仏陀が説いたかどうかは曖昧。(笑)



 ホモを書こうと思うと、どうしても、バカっ子が出てきてしまう。
 でもいつか、駆け落ち寸前の、馬鹿らしいくらい真剣な話を書きたいな。(どのCPがいいんだろうか?)


MIKO ...2004/08/17