目にうっすら涙を浮かべている、彼を、ただ、冷静に見つめ、そして、口づけをした。
甘く、深く、溶けるように、口づけをした。
感
覚
「なにす……」
言葉は最後まで言わせてやらなかった。
暴れる宍戸の手首をつかんで、ロッカーに押しつけた。
ガンッ……という、どこかを打ち付けたのであろう、結構痛そうな音がした。
手首が少し、赤くなっている。
離してやるべきか、いや、まだ離さない。
強い目で俺を見る。
たまらない。たまらない。どうしようか。
考える内に、笑みがこぼれてくる。
それを上手く隠そうとするが、どうにも上手くいかない。
「なに笑ってンだよ」
やはり気づいたか。
それならばと、遠慮無く口の端をあげて笑んだ。
ますます彼は、不機嫌になっていく。
たまらない。たまらない。愛おしくてたまらない。
少しの時間でよいから、自分が触れたいと思う。……自分の方へ向かせたい。
あいた、片方の手でその頬に触れる。
ザワリと、彼が全身を強ばらせたことに気が付いた。
しかし、気づかないふりをした。
(まだ、あかん。まだ、あかん)
呪文のように、その言葉を唱える。
しかし、欲望に駆られてしまいそうになる。
顔を近づける。
すると、目を大きくひらく。
何故か、それをおかしいと感じてしまう。
目にうっすら涙を浮かべている、彼を、ただ、冷静に見つめ、そして、口づけをした。
甘く、深く、溶けるように、口づけをした。
静かだった。
無音に近いような気がした。
誰も来ない。
何もない。
何もない……。
そっと、唇を離して。
ぼう然としている、彼をおいて、部室を出た。
何かが、終わったような、そんな開放感があった。
そして、まだ唇に残る感覚に、笑みをもらした。
2002/07/15に書いた言葉。↓
「前に書いたのが大概恥ずかしかったため、書きました。
前のは削除☆……前回よりはキャラをつかめたつもりです。」
一体、この前はどんなものを書いていたんだよ、私!(思い出せないし、想像すら出来ないよ!)
なんていうか……忍足さんのことを、私このときまだあんまり知らなくて(コミックで出てきてすぐくらいだと思うのよ、書いたの。氷帝ブーム前よ、きっと!)なんていうか、彼、ただの大阪弁(関西弁ですらない)のやらしー(?)兄ちゃんになって……ませんか?(謎)
ええと、今回難しかったのは、タイトルの文字の配列です。(何かイマイチ仕組みが分からないよ。タグの)
そういや、こんなCPに、電柱人さんハマってた時があったのねぇー。(笑)
MIKO ...2004/08/24