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いい声をしているとは思う。
それに、疲れているときに聞けばその人の心を少し和らげるような喋り方をする、とも思う。



「添い寝でもしてあげましょうか?」


その声は私に向かって碌な台詞を吐かなかったが。



「疲労」



眞魔国に新しく魔王が来た。
その魔王はどうやら別の世界から呼ばれたらしく、最初はこの世界の言葉を話すことすらできなかったらしい。(それはアーダルベルトによって解決されたのだが)
そのような者が今まで私が魔王の代わりに行ってきた仕事ができるはずも無く、
新しい魔王が決定したと今なっても私の仕事量が減るということは一切無くなるどころか、新しく魔王になった男、つまり渋谷有利が新しく引き起こしてくれる問題の数々に対する処理といった仕事が増え、趣味…では無く精神統一のための編みぐるみの時間すら減らさねばならないほど忙しくなっていた。
徹夜も4日目に突入しようとした日に、その男はやってきた。
私の弟でもあり、憎むべき人間とのハーフでもあり、新しい魔王の名付け親でもあるウェラー卿コンラート。
私同様に忙しいはずのこの男は、いつもの笑顔で部屋に入ってきた。

「ちゃんと休憩を取っていますか?」
あなたは自分の健康状態を省みずに無茶をするから、と言いながら私の手を掴み、小さな赤い飴を二つ、手の平の上に置いた。

「疲れたときには甘いものがいいらしいですよ」

「・・・すまない」
そう言って口の中に飴を一つ放り込み、転がす。
ほのかなイチゴの甘さがおいしいと感じた。

「ちゃんと寝ているのですか?」

「寝、ている」

「嘘ですね。2・・・いや3日は寝ていないでしょう」

何故わかるのだろう。
どうもこの男は人を見る力がある。

「ちゃんと寝てください。あなたの体が心配です。それに、睡眠をとらないと能率も下がりますよ」

「判ってはいるのだが・・・どうも仕事を残したままだと落ち着いて眠れんのだ」

「全く・・・真面目なんですから・・・ま、そんなところも貴方らしくて好きですけどね。」

恥ずかしげも無く吐き出される台詞にわずかに自分の顔が熱をもつのがわかる。
この男のこういうところが苦手だ。
惜しげもなく好意を表現する。
まるで自分とは対極にいるような、そんな気がしてならない。



(あ、グウェンが赤くなった)

――本当に、可愛いと思う。
人に好意を示されることに慣れていないのだ、彼は。
憎まれ役を買って出るせいであまり好意を示されることがないためだろうか。
どんな理由であろうと勿体無いと思うのだが。
(ま、あんまり好かれすぎても俺が困るんだけどね)

しかし、体調を壊されるのはもっと困る。
どうにかしてこの真面目な想い人を寝かせることはできないだろうか。
と、母上が言っていた言葉を思い出した。




何か考え事をしていたのか、しばらく無言だった目の前の男が何かを思いついたように、あ、と小さく声を上げた。
そして滅多に見せない子供のような笑顔でこういった。
「添い寝でもしてあげましょうか?」


思わず口の中の飴を噴出しそうになった。
それをとどめた私の理性はたいしたものだと思う。
この男は忙しさのあまり頭がおかしくなってしまったのだろうか?
訝しげな目で気が狂ったとしか思えないセリフを吐いた張本人を見ていると、考えていることが伝わったのか
「いやだなぁグウェン、俺は正気ですよ」
と、相も変わらず穏やかな口調でそんなことを言った。

「ほら、人肌の温もりって良いっていうでしょ?」

「男同士では気色が悪いだけだろう!」

「そうかなぁ・・・俺は、グウェンとなら喜んで一緒に寝ますけど?」
何もしない自信はあまり無いですけど、とさらりと恐ろしいことを言う。

「どうですか?」

「・・・わかった、今日はちゃんと寝る。それでいいのだろう」

「ええ。じゃあ、今日はちゃんと疲れを取ってくださいね。眠れなかったらいつでも呼んでくださいね。では、失礼します。」

女ならば喜びそうな笑顔でそう言って、入ってきたときと同じ様に静かにドアを閉めて去っていった。

「誰が呼ぶか!」
そう叫んでから、机の上に左の肘をつき、掌で額を押さえる。

――はめられた。
あの男は自分も忙しい中わざわざ私が無茶をし過ぎていないか確かめに来たのだろう。
そして案の定(という表現は非常に癪なのだが)、無茶をしていた私が絶対に寝るように言い負かしていったのだ。
どうも、あの男にはかなわない自分がいる。
そんな自分に戸惑いながら、あの男を嫌いになれない。

「――くそ」
そう小さな声で一人ごちてから、今日寝ても支障ないように目の前の書類を片付けだした。
あの男が持ってきたもう一つの飴を口の中に放り込んで。


 ぎゃああー!!!甘いよ甘いよ、ほんと甘いよ!!
 今回も、無断で公開しているわけですが(最低)、ええと、カラオケに行って、それで気がつけば二人でコングウェ書くことになってて、テーマを私が「疲労で!」と決めたために、疲労がテーマのお話でした。
 書きたいことを詰め込んだらしいですが、だからこそ一つの作品に、萌え箇所がありすぎて、もう、も・え・し・ね・る・!
 で、彼女の何が面白いって、締め切り日の23:59にメールが届いていたことだよ。
 ぎりぎり、間に合ってるところがすごい……!(私ならきっと過ぎてると思う)
 ありがとうありがとう。愛してる!(ぶちゅ)電柱人さんは、絵も描けるし文章も書けるしで何とも羨ましいです。
 実は、電柱人さんも忘れているであろう彼女のイラストを数点まだもっています。(携帯の写真とか)(これもこっそり公開してみようかと思ったけど、それはまだやめときます)
 またかいてねー!私は、またいつか!(20本の話、今の今まで忘れてたし)

2005/09/11