雑念の君


 カリカリと、鉛筆を走らせる音。

 カツカツと、チョークで黒板を叩いて、説明する教師。そして、それを見ながら必死にノートを取る生徒達。
 ぼんやりと、手を止めて回りを見渡してみる。
 空席は、ほんの3つ。
 一つは恐らく風邪の奴で、もうひとつは登校拒否の奴で、最後の一つの席の奴は今頃きっと、碁を打ってるんだろう。

(やってらんねー)

 なにがって、授業もそうだけど、藤崎さんの視線とか。
 たまにだけど、じっと進藤の席を見つめている。
 あいつ、今いないのに。
 いてもいなくても、藤崎さんは進藤の方をよく見ている。 

 それを見てるのがムカツク。
 ムカツいてる自分にムカツク。

 ほおづえをつきながら、ため息をつく。
 時計を見る。
 あと、20分くらいでチャイムが鳴る。

 藤崎さんは、もう前を向いて、さっきよそ見していた時間を取り戻そうとするかのように必死にノートを取っている。



 教師はなおも喋り続ける。

 寝てる奴。
 手紙を書いている奴。
 真面目に授業を受ける奴。

 お前ら、受験前だろ……なんて。
 真面目に授業も受けてない……まして、勉強もしてない俺が言えるせりふじゃないだろうし。

 焦らないことはない。
 けれど、焦りきれない。
 勉強しないといけないと思う。
 けれど、雑念がいっぱいはいる。



「ねぇ、三谷君」
「なに?」
 授業が終わって、明るい声で話しかけてくる藤崎さんに対して、感情を抑えようとどうしても素っ気ない態度になってしまう。
「今日、囲碁部見ていかない?」
「ああ、うん」
「わぁ、よかったー。三谷君嫌がるかなって思ったの。嬉しいな」
 手を組んで、一緒にいた同じ囲碁部だった女子に「ね?」と笑いかけながら言う藤崎さんを見ながら、今日は進藤がいないから、あんまりむかつかないかなって思った。
 だって、藤崎さんが「ヒカル、ヒカル……」って呼ぶ声を聞かずに済むから。




 私、どうしてヒカルの碁なんか、書いてるのかしら?と思ったら、過去の後書きに、


「三谷がなんか、乙女です!!(爆笑)
 友人のリクエストで書きました。(三谷とヒカルとあかりの三角関係希望でした)
 MIKO ...2002/08/06 」


 と書いてありました。わ、忘れてた!(笑)
 正直なところ、この文章を友人は読んだのかどうか分からないままに二年以上が過ぎています。(今公開した日を見て)
 ヒカルの碁、好きだったんだけど、小説も書かなければ、HP巡りをした記憶もあまりありません。
 今ふと、制服が懐かしく感じました。

(どうでもいい話ですが、タイトルの文字の色は「サラテリ・ブルー」で「ロンリー・メランコリック・もどかしい」という意味があるそうです。おもしろーい!)


MIKO ...2004/08/17