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遠くの笑い声が、いっそうの静寂を感じさせる



 プリーツスカートのすそが、膝の上でヒラリと揺れる。
 笑い声がさざめいている。

「なにを見ているんだ」

「あー」

 見えそうで見えないスカートの……と正直に答えるのは躊躇われて振り向く。

「なんだ、マスタング」
「呼び捨てか」
「……先生」
「よろしい」

 いちいち腹立たしいやつだと、思った。
 こいつといても、イライラするだけだから、早々に立ち去ろうと思ったが、ふいに呼び止められる。

「エドワード」
「んだよ」
「君のその、教師に対する態度はどうかと常々思っているのだが。ちょうどいい、来なさい」
 チッ、と思わず舌打ちする。

 おそらくこの態度の悪さが、つけ込まれる隙なのだろうということは分かっている。
 しかし、だからと言ってその態度をすぐに改められる性格でないことも理解している。


 ドアを開ける。
 部屋の中は、少し雑然としていて、教科準備室らしい独特の雰囲気がある。
 プライバシーを守るためなのか何なのか、鍵を閉める音が聞こえる。
 そのくせ、奴はカーテンを開けて、窓さえもあけるのだ。
 外が丸見えだ。

 風がふいて、カーテンがひるがえる。
 それに目を奪われている隙に、腕をとられる。
 体のバランスが崩れる。
 そして、



 くちびるが、奪われる。



「やっ、やめ……」
 呼吸さえおぼつかない。
 なんとか、言葉を出そうとする。
 けれど、すべてが思い通りにいかない。
 そう、すべてが奴の思い通りなのだ。
 必死に、その行為に答えて、夢中になっている自分に気付いて、羞恥で頬が染まる。

 体が引き寄せられる。
 密着度が増す。
 絡まり合う。

 奴の手が、体の中心部に及ぼうとしたのを、必死で拒む。
「あ、そこは……」
「ここがどうした」
 喋れないようにしておきながら、こちらに言葉を求める。
 やめろと、態度で示す。必死で、身じろぎする。

「せんせ、……やだ」
 顔は見えない、けれど奴が笑ったのがわかった。
 にやり、と。



 マスタングのムカつくところは、自分にはない大人の余裕があるところだ。
 これ以上、踏み込むと、キレてやろうと思う一歩手前で奴は踏みとどまる。
 だから、何もできないでいる。(これはきっと、俺自身の甘さでもあるのだろうけれど)

 ゆっくりと、名残惜しげに唇が離れる。
 それを、さみしい、と感じてしまう俺は、もう、奴の手のひらの上で転がされているにすぎないのだと思う。






 教室移動の最中、ふと校舎を見上げる。
 一つの窓に注目すると、カーテンがふわりと外に向かって翻っていた。
 逆光で、はっきりとは見えなかったが、人影を感じた。
 きっとそれは、会いたいと感じさせる奴の作戦なのだ。

 リクエストされた学パロです。
 最初は、英語圏だったら先生のことをミスター?プロフェッサー?それともサー?とか悩んでたのですが、それだと学パロじゃないじゃんと思いなおし、書き換えました。
 白衣とか眼鏡とか、いろいろマスタング妄想でキュンキュンしましたが、文中には出てこず。ご想像にお任せします。

MIKO ...2011/08/21