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「大佐」
 桜の木の下まで来て、鋼の錬金術師は立ち止まり、振り返った。



さくら

「今まで、ほんとにありがとう」
「わざわざ、それを言うために私を呼んだのかね」
 そう言うと、彼は斜め下に視線を向け、言い出しにくいことでもあるのか、キョロキョロと目を動かした。
「今更だけどさ、俺、大佐には本当に感謝してるんだ」
 そして、言い訳でもするように早口で続けた。
「いっぱい資料も用意して貰ったし、他にもいっぱい助けて貰ったし……!」
「おめでとう」
「…………!」
「おめでとう、無事に体を取り戻せてよかった」
「たいさ……」
 風が吹く。
 今まで結ばれていた髪は、解かれてキラキラと風になびく。
 花びらが舞う。
 一歩足を前に踏み出す。
「あのさ、大佐」
「どうした?」
 あの金色の瞳の大きさは変わらない。輝きも変わらない。しかし、厳しさが消えた。
「俺、リゼンブールに帰るよ」
「ああ、そうすればいい」
 年齢に見合わない重荷がなくなったからか、厳しさが消えたその瞳には柔らかさが現れていた。
 白い頬を、そっと撫でる。
 目と目が合う。
「なあ、」
 どうした、と目で続きを促す。
 そして、その言葉に思わず目を大きく見開いた。

「帰ってきても良いかな、また、ここに」
「当たり前じゃないか」

 そう答えると、腕の中のその少年は、嬉しそうに笑った。



 桜の木の下で、別れは似合わない。


 前回書いたときに比べて、あの熱い情熱みたいなものは消えてしまったのですが、違う感情がわいてきました。あの頃が、情熱的に恋をしていた少女なら、今は子供を産んだ母親の気持ちです。
 まあ、経験無いので、想像ですが。

MIKO ...2007/04/11